本社とは別に支店を構えたいと考えているものの、具体的な方法について理解していない人もいるでしょう。事業の拡大に有効な支店設置ですが、あらかじめ知識を深めておかないとスムーズに登記ができない恐れがあります。
本記事では、法人が支店を登記する際の手順・費用・必要な書類などを詳しく解説します。支店を構える際におすすめのサービスについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
法人が支店を登記する際の手順
ここでは、法人が支店を登記する際の2つの手順について紹介します。
①支店設置に関する事項の決議を行う
支店の登記申請を行う際には、設置場所や設置時期といった具体的な事項について決議する必要があります。取締役会がある企業は取締役会で決議を行いましょう。一方で、取締役会のない企業は取締役の過半数の同意が必要です。
また、取締役会の決議を行う際には取締役会議事録を、取締役会を設置していない場合は取締役による決議書などを作成しなければいけません。
②適切な機関に登記の申請をする
本社と支店の管轄法務局が同じ場合、本店登記簿の記載を変更する必要があります。
本社と支店の管轄法務局が異なるケースでは、従来は本社の管轄法務局・支店の管轄法務局の両方で手続きを行わなければいけませんでした。しかし、令和4年9月1日から商業登記規則などの一部が改正され、支店の所在地における登記が不要となりました。そのため、本社の管轄法務局で手続きをするだけで済みます。
支店の設置にかかる費用や申請期間
支店を設置する際には、以下の登録免許税を納付する必要があります。
- 新たに支店を設置する場合:6万円
- 既存の支店を移転する場合:3万円
また、法務局に登記申請を行う際には支店を設置した日から2週間以内と期限が定められています。あらかじめ費用や申請期間を把握しておけば、余裕を持って登記申請を完了させられるでしょう。
法人登記の申請に必要な書類
法人登記の申請を行う際には、以下の書類や費用の提出が求められます。
- 支店設置登記申請書
- 支店1か所につき6万円の登録免許税
- 取締役会議事録または取締役の過半数の一致を証明する書類
- 委任状(代理人に委任する場合のみ)
法人が支店を登記する3つのメリット
法人が支店を登記することで、以下の3つのメリットを得られます。
- 本社とは別に融資を受けられる
- 権限の一部を支店に委任できる
- 公共事業を入札できるため仕事の幅が広がる
それぞれについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
本社とは別に融資を受けられる
支店を設置することで、本社とは別に金融機関からの融資を受けられます。支店が独自で損益計算書や貸借対照表といった財務諸表を作成することで、銀行などの金融機関から資金を借りられるのです。
融資を使って新たに従業員を雇用したり設備費に充てたりすることで、事業の拡大などにつながるでしょう。
権限の一部を支店に委任できる
本社とは別に支店を構えることで、権限の一部を支店に委任できます。どのような権限を委任するか自由に決められるため、多くの権限を委任することも最低限の権限だけを委任することも可能です。
多くの権限を委任すれば、スピーディーな決断により事業の発展を早められます。一方で、最低限の権限のみを委任すれば、顧客とのトラブルなどのリスクを抑えられるというメリットがあります。
自社の体制や優先順位に応じて自由に権限を委任できる点は、支店を登記する利点だと言えるでしょう。
公共事業を入札できるため仕事の幅が広がる
公共事業の入札が可能となる点も、支店を登記する大きなメリットです。国や地方公共団体が仕事を業務委託で発注するときに業者を選定する制度のことを、入札と言います。企業を選定する際には地域活性化のために地元の企業を優先することが多いため、支店を設置しておけば入札されやすくなります。
国や地方公共団体からの仕事は民間企業の仕事よりも失注しにくい傾向にあるため、安定した収入を得られる点が魅力です。
法人が支店を登記する3つのデメリット
法人が支店を登記する際には、以下のデメリットが生じます。
- 税金を支払う必要がある
- 労働保険・社会保険といった手続きが発生する
- 登記自体にコストがかかる
デメリットについても把握したうえで支店の登記を検討してください。
税金を支払う必要がある
支店を設置したら、以下の税金を納付する必要が生じます。
- 源泉徴収税:従業員から源泉徴収した税金を支店ごとに納付する必要がある。
- 法人住民税:法人道府県民税・法人市町村民税の総称。支店のある都道府県・市区町村に納める税金。均等割・法人税割の合計金額を支払う。
- 法人事業税:支店のある都道府県に納める税金。企業全体の所得を分割した金額に法人事業税率をかけた金額を支払う。
- 償却資産税:車両や備品といった消耗品にかかる税金。支店がある市区町村に納付する必要がある。
追加で税金を払わなければいけない点は、支店を構えるデメリットのひとつです。
労働保険・社会保険といった手続きが発生する
独自で労働保険や社会保険などを手続きしなければいけない点も、支店を設置するデメリットだと言えます。本社で行っていた手続きを支店でも実施する必要があるため、人件費のコストや手間が生じます。
ただし、種類が同じ事業に取り組む場合や一括適用事業所として厚生労働大臣からの承認を受けている場合は、本社で手続きを一括できます。
登記自体にコストがかかる
先述したとおり、支店を登記する際には6万円の登録免許税が生じます。また、司法書士に支払う報酬も発生するため、合計10万円以上の費用がかかるケースもあります。
登記にかかるコストを把握し、支店の設置によりどれだけの利益が見込めるか算段を立てたうえで実行に移しましょう。
支店を登記したいならレンタルオフィスを使おう
支店を登記しようとしている人には、「レンタルオフィス」というサービスの活用がおすすめです。レンタルオフィスとは、支店として登記することも可能な貸事務所のことを指します。ただし、なかには登記に対応していないところもあるため、事前に確認しておきましょう。
ここでは、レンタルオフィスを活用して支店登記をする3つのメリットについて解説します。
- 賃料やオフィス家具代などを大幅に減らせる
- スピーディーに使い始められる
- 契約期間を柔軟に決められる
賃料やオフィス家具代などを大幅に減らせる
月額賃料が30万円の賃貸オフィスを契約して支店を構える場合、以下の初期費用がかかります。
前家賃 |
30万円 |
仲介手数料 |
30万円 |
敷金・保証金(6ヵ月) |
180万円 |
礼金(1ヶ月) |
30万円 |
合計金額 |
270万円 |
上記の他にも、内装工事・オフィス家具の購入および搬入に対するコストも生じるため、高額な費用を支払うことも珍しくありません。また、光熱費やインターネット環境にも費用がかかります。賃貸オフィスの立地や面積によっては、月額費用が30万円以上となることも。
一方で、レンタルオフィスであれば初期費用・月額費用を大幅に削減できます。また、備え付けのオフィス家具があるため、新たに家具を購入する必要もありません。ほとんどの場合、光熱費やインターネット費が月額費用に含まれている点も嬉しいポイントです。
例として、弊社が運営している『熊谷オフィス』では月額費用が19,800円のプランが用意されています。初期費用に関しても、月額費用の3倍の金額で済みます。
スピーディーに使い始められる
賃貸オフィスを支店として利用する場合、申し込みをしてから契約締結までに2週間~1ヶ月かかり、その後内装工事やオフィス家具の搬入などを行う必要があります。そのため、実際に使える状態になるまで2ヶ月程度かかるケースも存在します。
その点、レンタルオフィスであれば契約後すぐに使い始められることが多いです。施設によって異なりますが、なかには即日入居が可能なところもあります。いち早く支店を稼働させたい企業は、レンタルオフィスの利用を積極的に検討してみてください。
契約期間を柔軟に決められる
賃貸オフィスは、契約期間が2年間と定められているケースが大半です。しかし、事業の見通しが立っていない状態で2年契約をするのはリスキーだと言えます。
レンタルオフィスであれば、1か月単位で借りられるところが多いです。そのため、「まずはレンタルオフィスで支店を構えて、事業が軌道に乗ったタイミングで賃貸オフィスを契約する」といったことが可能。このように、契約期間を柔軟に決められる点もレンタルオフィスならではのメリットです。
埼玉県のレンタルオフィスなら『熊谷オフィス』がおすすめ
埼玉県に支店を設置したいと考えている人におすすめなのが、弊社が運営している『熊谷オフィス』です。『熊谷オフィス』には、以下の3つの魅力があります。
- さまざまな部屋タイプから自社に合うものを選べる
- レンタル会議室を無料で使えるプランもある
- 熊谷駅から徒歩3分とアクセスが抜群
さまざまな部屋タイプから自社に合うものを選べる
『熊谷オフィス』には、自由席・指定席・半個室・個室の部屋タイプが用意されています。それぞれの月額料金は以下の表のとおりです。
プラン |
月額料金 |
自由席 |
19,800円 |
指定席 |
31,900円 |
半個室(2名用) |
45,000円~ |
半個室(4名用) |
72,000円~ |
個室(3人部屋) |
53,900円 |
個室(4人部屋) |
64,900円 |
事業規模に応じて自社にあった部屋タイプを選べます。また、あとからプランを変更できるため、「まずは指定席で契約して事業が育ったら個室に変更する」といったことも可能です。とくに自由席・指定席・半個室タイプは空きが多いため、スムーズに入居できます。
【自由席・指定席】
【半個室】
【個室】
レンタル会議室を無料で使えるプランもある
自由席以外のプランを選べば、併設されているレンタル会議室を無料で使えます。レンタル会議室は、顧客との商談や打ち合わせ・自社会議・採用面接・説明会など幅広い用途で使える便利なサービスです。喫茶店などで商談や打ち合わせをする企業も存在しますが、レンタルオフィスの方が集中できる環境が整っているうえにプライバシー面も安心です。
なお、自由席で契約している人でも1時間1,650円でレンタル会議室を使えます。
熊谷駅から徒歩3分とアクセスが抜群
支店を構える際に重要なのがアクセスの良さです。どれだけ充実した設備・サービスが用意されていたとしても、アクセスが悪いと顧客との商談などを実施しにくいです。また、従業員にとっても通勤時間が負担となってしまいます。
『熊谷オフィス』は、熊谷駅からたったの徒歩3分でアクセスできるため、気軽に足を運びやすいです。従業員や顧客に負担をかけることなく利用できるでしょう。
【まとめ】手順や費用を把握してスムーズに支店登記をしよう
新たに支店を登記する際には、社内で支店設置に関する事項の決議を行ったうえで適切な機関に法人登記の申請をする必要があります。また、支店1か所につき6万円の登録免許税を納付しなければなりません。
あらかじめ支店登記の手順や費用を理解しておくことで、スムーズに手続きを進められます。支店登記には本社とは別に融資を受けられる・権限の一部を支店に委任できる、といった嬉しいメリットがあるため、ぜひ前向きに検討してみてください。